日本人は今すぐ連続ドラマ「マグマ」を見るべき

WOWOW連続ドラマW「マグマ」

WOWOWのオリジナルドラマ「マグマ」が熱い。

■原子力の影にかすむ地熱発電の現場を鋭く描く


「マグマ」の原作は、「ハゲタカ」でも知られる真山仁がエネルギー政策にスポットを当てた名著で、原子力発電の影ですっかり落ちぶれてしまった「夢の地熱発電新技術」に人生を掛ける企業を起点にして語られていく。

真山仁作品の魅力である“極めて現実的な世界観さえ串刺しにする熱いメッセージ性”は健在で、自由主義経済下の厳しい現実の中で、愛する人や生活を守らなければならない不安と葛藤を抱きながらも、止むに止まれぬ使命のために邁進していく熱き人々の生き様が描かれていく。

■「ドラマ化できるとは思わなかった」


真山仁はインタビューの席で「まさかこの題材がドラマ化できるとは思いもしなかった」と発言していることからも、今の日本にとって非常にナイーブな内容が含まれていることがうかがい知れるだろう。

原作は東日本大震災及び福島原発事故(以下、311)の起こる以前に書かれているため、ドラマ化にあたって真山仁自らの要望で311後の設定に手直しされている。また「原発=悪」「地熱=救世主」という単眼的な視点で語られたくないとの理由から、原発と地熱発電の専門家をドラマ製作陣に紹介するほどの力の入れようである。

■WOWOWの差別化戦略がオリジナルドラマを面白くしている


WOWOWの連続ドラマW枠の基本姿勢は、民放に手の出せない題材を取り上げることで差別化を図るという一貫性の下に制作されており、これまでも抜群に面白い社会派ドラマをいくつも世に送り出してきた。しかしながら、いま放送中の真山仁原作「マグマ」ほど、この方向にマッチングした傑作はなかったのじゃないかと思う。

■民放には扱いづらい題材


民放は、スポンサーからの広告費に依存した収益モデルであるがゆえに、どうしても広告主に配慮せざるを得ない性質を抱えている。つまり、主要なスポンサーに電力会社がいる場合、それは潜在的なプレッシャーとなってしまう。しかし、視聴者からの視聴料で運営されているWOWOWにはその制約がない。本作は、まさにWOWOWのために用意されているような題材と言い切ってしまって良い。

これがWOWOW加入者にしか見られないのは悲劇だ。なんとかドラマ単体で購入することは出来ないのだろうか。DVDを早めに出すなどして、なるべく多くの人に見て欲しい。ここ関西においては、行政が奨励作品として宣伝して欲しいくらいだ。

もう言い切ってしまうけれども、これは日本人全員が今この時に見るべき作品だ。

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